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Review

2020.10「日常の一コマを見直す作業」 児玉 泰 展

(2020.10.11-10.24 12:00-17:00)  Pastページ>>>>


児玉 泰



■展示を終えて
  秋にふさわしい景観が広がる南山城村の、念願だったギャラリー・デンでの作品展を10月に開くことができました。多くの方々が遠方より来ていただき、ご高覧頂いたことにありがたい気持ちで一杯です。また、この機会を頂いた手島さんにも感謝しております。
  今までに南山城村のギャラリー・デンには幾度か訪れ、数々の作品を観てまいりました。街のギャラリーで見るのと違い、自然の中に溶け込む古民家における展示風景は、風格を高めてくれました。観ながら思索する時間の流れの質感も異なりました。そして、今度は自分自身が鑑賞する立場から展示する立場に変わり、いかにこの場に作品展を展開させるかを試行錯誤しました。古民家というのは、時には作品を上回る漂いを醸し出すものがあります。非常に強く主張してくることもしばしばです。当然年月を経た空間に宿る超越した空気感が展示する作品群を包み込んでくれるときもあれば、逆に不協和音を生じさせ違和感を放出されてしまう時もあります。
  最近、自分自身の発表は、継続してきた中学校美術クラブの画廊での展示の中で、いかに空間を作るか、デザインするかという意識が強まりました。しかし、今回はそれを意識せずに、作品のシリーズ性を出してみたい、あくまで平面を意識すること、いわゆるタブローの制作指針に位置づけました。それが今回展示させてもらった「風の通る街の景観」シリーズです。4号から10号までのサイズ2~3点を制作していきました。背景の雲はマグリットの影響を受けているとよく言われていますが同感です。否定はできません。なんせ中学生の時からマグリットに似せて雲を描いていましたから。手前の様々なフォルムを持った立像が連立しています。それはそれぞれ人格を持つ、いわば擬人化された立像です。批評をされる中で度々登場する言葉が、おもちゃ、玩具のような、あるいは遊園地のような、と言われます。残念ながら制作している当の本人は全然それを意識していないのです。また、日常的なメモスケッチも2階に展示しました。自分自身の思考の一端を見ていただきました。
  会期中、宿泊することはなかったのですが、スケッチをする時間があり、有意義な過ごし方ができたことは望外のあり難さでした。特に十数匹の鶏たちを描く嬉しさ。描いているとよくわかるもので、それぞれの鶏の性格が違い、それに呼応した動きを見せてくれました。鶏小屋から自由に外出し、野、畦道を駆け巡り、一段落したら小屋に戻ってくる鶏たちを見ていて、幸せな鶏を眺めていました。犬もいれば、ヤギもいる小動物園のようでもありました。
  展覧会を開催した、ここで過ごした数日間をかみしめられたことは、60歳を過ぎて、嬉しい時間を持てた実感でした。おそらく私だけでなく、多くの作家たちが同じような思いを持てたことではないかと憶測します。9月癌の手術をし、入院生活は10日間だったものの、中々体調が戻らない中、ここでの作品展を開催することで、次のことを考える元気を持つことができました。入院生活での思考から、ギャラリー・デンでの過ごせた時間は新たな展開を模索する機会を与えてくださったことと感じます。
  11月をもって、ギャラリー・デンは閉廊されます。思えば、大阪市神山で初めて訪れ、靭公園に移ってからも、しばしば訪れたギャラリー、そして南山城村と長い間、手島さん、本当にありがとうございました。

■児玉 泰 展示作品



2020.10 『Transition』 池田 高広 展

(2020.10.11-10.24 12:00-17:00)  Pastページ>>>>


池田 高広



■展示を終えて

■池田 高広 展示作品


<OPENING EVENT>

「出品作家、児玉 泰・池田 高広によるアーティスト・トーク」

日   時 : 10月17日(日) 13:30〜
会   場 : AIR南山城村“青い家”
参加費 : 無料

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