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Review

2017.7「カレイド」井上 光太郎 個展

(2017.7.16-7.29 12:00-17:00)  Pastページ>>>>



井上 光太郎



■展示を終えて
「村」というものを想像する時に、僕の脳内では少しの怖さと、事件性というものを感じる。例えば新幹線に乗っている時に見かける、何もない山の僻地にポツンと存在する孤立した家。『狗神』、『ツイン・ピークス』、『金田一耕助』などのように、都会には存在し得ない独特の不穏感を思い浮かべる。だが、実際展示した際には、そのような不穏さはなく、のんびりとした平穏な夏休み感があった。しかし、ギャラリーからすぐ目の前にある山の闇や、緑生い茂る道の見えない奥を眺めていると、僕個人が踏み込んではいけないような世界があるように思えてしまう。僕が居た場所は小さく制限された、安全で、守られているような領域にしかいなかったように感じる。その小さな領域の中で僕の作品は展示されていた。

展示場所は「村」の中の「小さな領域」であったが、自身の作品にもそう言える。現実の世界で何にも巻き込まれないのであれば、僕は自分の作品の中で、領域を拡大し、自身もしくは他者を引きずり込んでいかなければならないのである。

次の作品では少しでもその思考を持って、描いていきたいと思う。

■井上 光太郎 展示作品



2017.7「暮れる日」八太 栄里 個展

(2017.7.16-7.29 12:00-17:00)  Pastページ>>>>



八太 栄里



■展示を終えて
日が「暮れる」と毎日の「暮らし」という字が同じだということに引っかかって今回のタイトルを「暮れる日」と名付けました。 あたりが暗くなるまで何かをして過ごすという意味から「暮らし」となったそうで、なるほどすんなり納得出来ると同時になかなか深い言葉だなと思います。 人は毎日暗くなるまで何かに没頭しながら暮らし、命を暮らしていく。 もともとの居住者の暮らしの痕跡が至る所にあるこの青い家で、「暮れる日」が開催できたことは幸いでした。 集大成と言うには大袈裟ですが、結果的に活動を始めた頃の過去作から現在までを辿る展示になりました。 画面は変化しながらも、根底にあるものはたぶんずっと同じで、記憶と終焉を追い求めています。これからもそこは変わることは無い気がします。

通り雨が空気を変えていくことや、陽の差し方で刻々と部屋と作品の色が変化していくこと、虫と動物の気配や日に日に濃くなっていく夏を青い家の一部になったように、何もせずにひたすらぼんやり眺めて過ごした日々はとても贅沢で、他では変え難い経験となりました。 この数日間のことが今後の作品や活動に何かしらの形で繋がっていくことを期待しています。 ステイトメントでも述べたように今回の展示は鑑賞者の意志と旅が主役でした。2週間という短い期間でしたが、青い家まで足を運んでくださったみなさま、一緒に旅をして頂き誠にありがとうございました。

■八太 栄里 展示作品


<OPENING EVENT>

「吊るす日」

日   時 : 7月16日(日)
        13:00〜
会   場 : AIR南山城村“青い家”の前庭

■オープニングイベント風景

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