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Review

2020.07「過去の滞在」 藤野 裕美子 個展

(2020.7.12-7.25 12:00-17:00)  Pastページ>>>>


藤野 裕美子



■展示を終えて
心配も多い状況下に関わらず足をお運びいただきました皆様、そして個展に際しご協力を賜りました皆様、誠にありがとうございました。 今回の展示では自分の中でバラバラだったことが繋がったり、また新たな気付きや感じることがたくさんありました。

私は画面の中を、あらゆる場所で見たものを継ぎはぐようにして構成し、実際にあったものを用いて、実際にはない空間を作っています。

主に空家の中や過疎の地域、街中の一角で見つけたものや、人の手を離れた家財道具など暮らしの「過去」と、日々更新され「現在」を象徴するもの、時に「過去」を風化しようとするものとして植物などの自然を描いています。 それら「過去」と「現在」をランダムに構成し、あらゆる時間や場所が混在し、繋がり合うかのように描こうとしています。 ほとんどの作品に見られる[カーテン]や[窓枠]は内と外の関係や、それらが崩壊している状態を表すものとして描いています。

それらの絵画を、任意の角度から見つめていただけるように、壁面から自立させ角度を持たせて展示しています。 誰かが絵画と相対するその時、絵画の中に巡る時間がさらに外側と繋がっていくことを思いながら築いています。

京都と私が住む滋賀はお隣ですが、南山城村に行くと「遠くまで来た」という感覚、自分が暮らす街とは違った生活文化のある土地であることを感じます。それは、国内外問わず近年訪れた様々な地でも感じてきたことですが、ここ最近では毎日通る道を一本外れただけでもそのような感覚になることがあります。 離れた場所も近くの場所も、別ものではなく本当は地繋がりで、全然違う生活文化も少しずつ変化しながら繋がっているものです。 それは時間も同じで、「過去」と「現在」は別ものではなく、一繋がりです。
そんな当たり前で、肌で感じにくいことを、託すようにして私は画面の中でそれぞれの事物を繋ぎ合わせているのかもしれません。 そしてそれらに、あなたの場所から出合っていただくために、あえて壁から離して立ち上がらせているのかもしれません。

ここで展示して感じたことを実践していくべく、これからも作品を作り続けたいと思います。 また、どこかで出合っていただけますことを願って。

■藤野 裕美子 展示作品



2020.07 『絵画の庭-巻蛇花』について」 原田 要 個展

(2020.7.12-7.25 12:00-17:00)  Pastページ>>>>



原田 要




■展示を終えて
今回の会期は、コロナウイルスでの緊急事態宣言も解除され、ぎりぎり少し日常に戻りつつあった時期でもあり、なんとか無事に開催することが出来ました。 しかし、そこまで予定されていたいくつかの展示が先送りになることで、ほぼ4か月締め切られていた「青い家」の状態は、数年ぶりに帰省した住む人もない田舎家のよう。 謎の糞が畳一面に散乱していたり、土間は雨漏りの水と泥でぴちゃぴちゃヌルヌル状態。展示よりも大掃除にかなりの時間を費やしましたが、2回かけて運び込んだ作品は、 大小合わせて34点と、自分では過去最大の作品数となりました。ホワイトキューブの展示空間とは大きく違う「青い家」の空間は、場と作品の真剣勝負を求められる、 かなりやりがいのあるものでした。またご来場の方は、わざわざ一日を費やしてお越しいただくのですから、それに応えるだけの展示を、 とも頑張りましたが、それだけのことは出来たのではと思っています。
畳敷きの広間には、以前同様の和室で展示した作品の一部を作り変えて展示しましたが、大きくとぐろを巻いた大蛇が鎌首をもたげ、庭へと向かうように作り変えたことで、 ようやくこの作品のあるべき姿が表せたかもしれません。また、土間空間には大きな傘状の作品を配置しましたが、場の雰囲気と相俟って、作品の本来持つ怪しさが引き出せたように思います。 ただ土間は最後まで水が引かず、作品が完全にカビてしまう悲劇にも逢いましたが。
会期中、遠方にもかかわらず大勢の方にお越しいただけましたが、いろいろ思わぬ出来事もありました。 グーグルマップでの「青い家」までの道の表示が、なぜか完全に間違っていることなどもあってか、初めてお越しいただく方はほとんどすぐにたどり着けず。 また初日には車を路肩に乗り上げてしまい、5時間かけてJAFに救出されたり、木曜日の休みにもかかわらずお越しいただいた複数の方々が、 展示を見れずお帰りなる結果になったり。他にもいろいろトラブルもありましたが、お越しいただいた方には、「青い家」ならではの展示を、時間をかけてじっくり楽しんでいただけたと思います。 ご来場のみなさま、本当にありがとうございました。今回の展示を糧に、より質を高めた展示を重ねていくことが出来そうです。今後ともよろしくお願いいたします。

■原田 要 展示作品


<OPENING EVENT>

「出展作家、原田要・藤野裕美子によるアーティスト トーク」

日   時 : 7月12日(日) 14:00〜15:15
会   場 : AIR南山城村“青い家”
参加費 : 無料

■イベント風景


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