Review
2018.11中道 由貴子 個展
(2018.11.11-11.24 12:00-17:00) Pastページ>>>>
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中道 由貴子
■展示を終えて
今回、ギャラリー本館で展示をすることになって、あの空間において作品がどんな見え方をするのか、光量、空間について、より場所を意識した制作になりました。それは、展示に伺う度に作品を前に目を凝らす感覚や空間の独特な存在感を肌で感じた印象が強く残っていたからだと思います。
目を凝らすことは、私の薄い膜の重なりを使った作品の意図に深く関わりのある行為です。じっと、眺め、表面で揺れ、奥へと流れるような、そんな体験を促すことができないものかと思い、描いてきました。この場所で展示してみたかった理由はそこかもしれないと、展示中、来ていただいた方と話す中で気づかされました。制作時になかった言葉が見つかることは展覧会中の醍醐味です。今回の展示では、人の目と言葉を伴って作品のひとつの形にしていただきました。
展覧会が始まる前は、いつも不安や葛藤でいっぱいです。展示空間に持って行って作品がうまく合うのか、どれだけの人に見てもらえるのか。今回の展示では、始まるまでその気持ちはより大きかったと思います。初日は、オープニングイベントで「青い家」展示作家の吉岡さんが半袖姿で制作に向かわれるほど暖かな気候で始まり、最終日ギリギリまで、たくさんの方に足を運んでいただいて、本当に有り難い時間を過ごさせていただきました。
展示の機会とご縁を繋いでくださった手島さん、同時期開催でたくさんの示唆をくださった吉岡さん、そして大変な中ご来場くださった皆様には心より御礼申し上げます。
2018.11 吉岡 滋人 個展
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吉岡 滋人
■展示を終えて
18年前にデンさんで初めて展示させていただいて以来、’05年、’10年にもお世話になって今回が4回目ですが、今までの画廊スペースとは違い、今回は以前日常生活が営まれていた空気がそのまま残っている場所への展示でした。これは自身の活動の中でも初めてのことでしたので「そこで何が出来るのか?」といつもよりも長く考えるところから始まりました。
今回は病床の父をモデルにして作品を作りたいと考えていました。
モチーフはその時々気になっていることや直感で決めています。
デンさんで初めてお世話になった頃は普段触れることのないものをモチーフにすることが多かったのに対し、
近年は逆に自分の身近に見つけることが増えてきました。
エネルギーを包んだ静かなフォルム、そういうものに惹かれるのですが、今回病床の父をモデルに作品を作りたいと思ったところからこれまで作った作品を改めて考えてみると、生きることや死に関心を持ってモチーフにしている場面も多くあることに気がつき、そのため今回の展示はそこを意識した内容にしました。
全体的には意識したことをシンプルに表現できたように思いますが、青い家に具象の木彫を展示すると空間と作品が同化していく(実物大の人物像は特に)難しさも感じました。
木を彫る時、その木を彫ってその木以上に魅力的な形を作れるのだろうかといつも必ず考えます。するといつも必ず彫り出せなくなって木をただ眺める時間が続きます。今回もそうやって彫らずに木と対峙する時間が長くありました。
なかなか彫り出せないことに焦りを感じる一方で、自分の生活の中にそうして自然に畏れを感じる場面があること、そこを経て作品を作ることは結構大きなことかもしれないと今回の制作中は思いました。素材とのそうした対話も、今回気づいたこと、意識したことにつながっているのかもしれません。
個人的には今まで見過ごしていたことに気づき、今後意識を置くものが見つかった展示になったと感じています。
<OPENING EVENT>
「チェーンソーカービング」
日 時 : 11月11日(日)13:00〜
会 場 : AIR南山城村“青い家”
参 加 費 : 無料(関連グッズの販売あり)
■オープニングイベント風景
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