Gallery Den mym ギャラリーデン南山城村 Gallery Den mym ギャラリーデン南山城村

Review

2015.7藤永 覚耶 個展

(2015.7.12-7.25 12:00-17:00)  Pastページ>>>>



藤永 覚耶



■展示を終えて
 このギャラリーは、予め予定をあけておき、人によっては丸一日、少なくとも半日以上を割かないと訪れることが難しいような場所にあります。そういう環境の中で、多くの方に見て頂けたのはとても嬉しいことでした。

僕の作品は、それ単体というよりもむしろ、人が空間の中で対峙することで発動します。

ギャラリーの空間は癖も強く展示に苦労した点もありましたが、次にまわるべきギャラリーやスポットも近くにないこの場所では、じっくりと作品と空間に向き合ってもらえます。作品を見てもらう環境としてはとても贅沢かもしれません。

 僕にとってのこの一年半ほどは、これまでの作品を見つめなおし、次へ向かうための新しい可能性を探っている時期でした。展覧会としても、しっかりと見せる個展ではなく、試すようなグループ展の機会が多かったです。そういう時期にあって、Gallery Den mymでは新しい試みを、責任を持ったかたちで行うことができる貴重な機会になりました。

 新作では、作品の図像が出来上がるまでの現象や時間も作品に含めたいと、しみの淵を残したシリーズを制作しました。1Fと2Fのふたつの空間で、新作とこれまでの作品を展示し、反応をもらえ整理できたことは収穫でした。模索の時期は今なお継続中ですが、向かうべき場所のヒントはありました。アプローチの角度を変えてみても良いのかもしれません。

展示中は、作品を前にして色々な人とじっくりしゃべる良い時間を過ごせました。Denでの展示も踏まえ、今後も作品の展開を見ていただけたら幸いです。

■藤永 覚耶 展示作品


2015.7行 千草 個展

(2015.7.12-7.25 12:00-17:00)  Pastページ>>>>



行 千草



■展示を終えて
今回の展覧会が決まった時は正直、インスピレーションが沸くというのではありませんでした。 嬉しい反面、いつもとは違う思い切ったこともできる場であることに困惑もありました。 会場へは何度か足を運びました。

最終的に決めたことはいつもの延長線で描くことです。 今実践していることと、この場を関連づけるというシンプルな方法に決めました。 「茶畑にパスタがやって来た日」まさにそのままです。 日本古来の自然が残るこの場に広がる人工的な茶畑の造形美と、私が描いて来たパスタ、これを同等に扱ってみたいと思いました。 青い瓦屋根は、学生の頃住んでいた下宿先の屋根と同じでした。私は以前より青を好んで頻繁に描いていたこともあり、積極的に取り入れることにしました。 どの作品も鮮やかな色彩を用いていますが、展示した時に違和感なくこの場に調和した理由の一つは、こういった南山城村に自分を寄り添わせたことと、私の扱っている素材のドンゴロスの生成~茶色っぽい色調がこの古民家の内装と近かったことによるのかと思います。

展示場所や配置は搬入の時に決めました。 展示当日は助っ人をお願いしたこともあり、幸いにも早く終えることができました。 すべてがスムーズというのではありません。 展示したい所に作品が入らなかったり。 床の間があったり、欄間、小壁、地板など、和室の特徴がありますので、融通を利かせて展示することとなりました。 釘を打つのではなく平置きの方が良かったり、場に合わせることで、あるべき場所へと作品が誘導させられたように思います。

展示が完了した時の感覚は、白壁の一般的なギャラリーでは作品による空気感で張りつめたようになるように思うのですが 今回の展示では、展示前の寂寞とした場から、人間の手の入ったくつろげる空間へというような変化でした。 これはとても自然な感覚で、ここで作品もしばらく共生するのだな、というじんわりとした柔らかな感覚でした。

会期中の2週間は、幸いにも多くの方に足を運んでいただきました。 本来民家ということもあり親近感がわき、話題が広がりました。 今後に生きる貴重な経験となりました。

最後に、今回企画していただきました手島さん。 準備に関わっていただきました皆様。 会場まで送っていただいた皆様。 そして、会場にお越しいただきました皆様に感謝申し上げます。

■行 千草 展示作品



<OPENING EVENT>

“溶かして描く”オリジナルコットン制作

日   時 : 7月12日(日)
会   場 : AIR南山城村“青い家”の前庭


思い思いに描いた綿布に、霧吹きすると・・・
にじみ流れ、綺麗なグラデーションに!
青い家に干された綿布がカラフルに舞い、みなさん楽しんでおられました。

■オープニングイベントを振り返って



 初日のオープニングイベントでは行さんと相談し、自分の制作過程のひとつをピックアップし、簡易版にアレンジしてワークショップを企画することにしました。行さんにはオリジナルイメージで作画してもらい、デモンストレーションや進行を手伝ってもらいました。

 ワークショップは僕にとってもはじめての試みでとても新鮮でした。

場所が奥地なだけに、参加者の数を心配していましたが、作家さん達、小さなお子さんから95才のおばあさままで、予想を超えるたくさんの方に参加して頂くことができました。当初、1時間程度で十分と見込んでましたが、みなさんとても熱中してくださり、入れ替わり立ちかわり結局3時間ほど行いました。

参加者それぞれの視点から、インクを溶かす制作技法を自由に解釈したり、こちらが思ってもみないようなイメージと出会うのはとても楽しい時間でした。南山城村のゆったりした雰囲気も手伝い、ワークショップは大成功だったと思います。

ただ、僕の作品は技法が少し変わっているだけに、ワークショップで技法が際立ってしまうことは、自分の作品にとって必ずしも良いことだけでもなく、技法と作品のバランスについても考えさせられる貴重な機会でした。


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