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Review

2018.05「幻と現実の間」 百合野 美沙子 個展

(2018.5.13-5.26 12:00-17:00)  Pastページ>>>>



百合野 美沙子



■展示を終えて
展示をさせていただいた5月は、南山城村の田んぼに水が入り、道の端にはドクダミや菖蒲、青々とした草木が茂る穏やかな季節でした。 また、会期中の穏やかな午後の昼下がりには、村を散歩していると、茂みの奥でガサ、と葉を踏む音をききました。 姿は見えないのですが、茂みの奥では野生動物がこちらを伺っているのでしょう、確かに「生」の気配があり、しばらくじっと見つめ合っていました。 私は都会育ちですが、これらの風景にとても「懐かしい」気持ちを覚え、それが不思議でなりません。
私の作品は、普段生活をしていて、ある瞬間ふと感じる光景を画面に留めたものです。これらの光景は、目の前の現実と、自分の中に溜め込み続けた記憶が作用し合い、現れます。その記憶は幼少からの、そしてもっと以前、私が私ではない何かだった頃のものでもあります。 そう考えると、遥か以前から知っているようなこの自然豊かな原風景、これらに囲まれた場所で展示をすることができたのは、とても充実した2週間でした。 自然や圧倒的な「生」の気配は、穏やかなように見えて、少し恐ろしい。けれど、そこで生きている人々の暮らしや過去の痕跡に私たちは今の立ち位置を見つけます。 そこからもう少し踏み出せば、恐ろしいけれど、大切な何かが見える気がします。湧き上がる光景をもっと描きたいと思いました。
作品の新たな展開も考えつくことができ、今後も精進していきたいです。
本当にありがとうございました。

■百合野 美沙子 展示作品



2018.05 「mimesis;mimicry 擬態」 三好 剛生 個展

(2018.5.13-5.26 12:00-17:00)  Pastページ>>>>



三好 剛生



■展示を終えて
 今回の個展のお話をいただいたのは2017年3月の終わりであった。会期は2018年5月で1年以上の期間があり、余裕を持って制作できるだろうと思っていたが、結果として今までで一番切羽詰まった制作となった。いろいろと至らない点は多々あったと感じるが今はひとまず恙なく展覧会を終えられたことに安堵している。
 今回の展示空間は、画廊・ギャラリーとしての設えがほぼ皆無と言っていいほどの、生活の匂いを残す古い一軒家であった。何回か下見に赴き展示の構想は練っていたが、湿気があれほどすごいとは予想以上であった。自分の詰めの甘さを反省するとともに、作家として貴重な経験をさせていただいたと感謝している。
 週末には会場に詰めていたが、ひっきりなしに人が訪れるような場所ではないので、誰もいないときは縁側のベンチに腰掛け読書をして過ごした。鳥の声しか聞こえない。がさがさと音がして来客かと思い顔を上げると、たぬきが1匹悠然と目の前を横切って茂みへと消えていった。私にとって、自分自身が自然の中に溶け込んでしまったような不思議な体験であった。
 2週間という会期も終わってみれば本当にあっという間であった。青い家で展示した経験やここで過ごした体験を、今後の制作にも自分の人生にも活かしていきたい。
 最後に、ご来場いただいた皆様には本当に感謝しています。ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。

■三好 剛生 展示作品


<OPENING EVENT>

「形を写す」

日   時 : 5月13日(日)
        13:00〜
会   場 : AIR南山城村“青い家”の前庭
参 加 費 : 200円(材料費)

■オープニングイベント風景

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